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最終改訂2000.7.12
               真空管備忘録 
 今はもうほとんど使用されなくなった真空管であるが、昔私が使用したり見聞きし
たものについて憶えている限りを書き残すことにする。以下の記述はほとんど全部、
頭の中にあったものだけを並べたもので、文献や実物による確認をしていないため、
誤りが相当あると思われる。お気づきの節はご指摘いただければ幸いである。
1.真空管の名前
 米国式、日本式、欧州式がある。
1) 米国式
 2〜4桁の数字のものと数字とアルファベットの組合せのものがある。数字だけの
ものには特に規則的な意味はないが、アルファベットとの組合せのものは次のような
形と意味を持つ。
    <数字列><英字列><数字>      例: 6C6,12AU7

<数字列> −− 概略のヒ−タ−電圧を示す(V単位小数以下切り捨て)
<英字列> −− 1〜2文字.大体製作順のアルファベット
 整流管以外ではAだけの1文字から始まりZの次はAB、AC、…、BA、BC、
…というように辞書順に付けられていったようである。ただし、I(アイ)とO(オ
ー)は使用されず、2文字の場合AA、BB等の同じ文字の連続も避けられた。新開
発管の第1文字は時代と共にだんだん後ろになり、1965年過ぎ頃Nに達したあた
りで真空管時代が終了した。但し、6SA7等GT管によくある第1文字Sは別の意
味では付けられたものらしい(後述)。整流管の場合は少し違って1文字のものは後
ろのZから始まり、Uまで来ると2文字になったが、そのあとはアルファベットの前
からになっているようである。
<数字>  −− 外部有効電極数
 内部接続されているものは一つとみなされる。ヒ−タ−、シ−ルド等も一つにかぞ
えられる。<英字列>が2文字の場合、先頭の数字(ヒーター電圧)を除く<英字列>
<数字>の組で真空管の種類を表し、これが同じ管はヒーター電圧だけが異なる同形
状同特性のもの(同種管)であるが、<英字列>が1文字の場合は必ずしもそうとは
言えない。(例えば、16A8と32A8は同種であるが、9A8は異なる。)また
<英字><数字>が違っていても同種管であることもあり、これは<英字列>が2文
字のものにまたがることもある。(例えば、16A8の同種管は 6BM8,8B8,
32A8,50BM8と計5個もある。もう一つあったかもしれない。)
 オクタルベース管にはこれらの後に −GT、−Gの付くものが多い(後述)。数
字だけのものも含めて以上の後に改良型を示すA、B等の英字1文字を付けることが
ある。また米国式名称のST管には前に用途、ベ−ス型を示す次のような英字2文字
とハイフンがつく。
     <英字1><英字2>−     例: UZ−6C6,KX−12F

<英字1> −− U − 受信管、 K − 整流管、 H − 水銀整流管
         C − 通信管、 E − 同調指示管(R − 抵抗管?)

<英字2> −− X − 4本脚、 Y − 5本脚、 Z − 6本脚、
         t − 7本脚(小型)、 T − 7本脚(大型)
しかし、これが付けられていないST管もあり,付いているのは日本製とも聞く。

2) 日本式
 米国式に似ているが最初の英字の後にハイフンがあるのが特徴。しかし、時々誤っ
てハイフンが省略されていることがある。日本式であることを明示するためにハイフ
ンを忘れないことが必要である。次のような形と意味を持ち、名前を見れば形や種類
がわかり便利である。3.項以下ではこの名前の球に関しては名前から明らかな情報
は省略してある。

    <数字列1><英字1>−<英字2><数字列2>
                                    例:6W−C5,5M−K9
<数字列1> −− 概略のヒ−タ−電圧を示す(米国式と同じ)
<英字1>  −− 形状、ピン、ベ−ス型を示す
    X − UX型、 Y − UY型、 Z − UZ型、 W − Ut型
    G − GT(G)管、 M − 7ピンmT管、 R − 9ピンmT管
    D − サブミニチュア(SmT)管、 C − 12ピンコンパクトロン
    N − ニュ−ビスタ、 B、H − マグノ−バル管(共に9ピンの大型
        管であるが、BとHでどこが違うのか知らない。)
<英字2> −− 2極管、3極管などの種類を示す.複合管のときは複数並べる
    D − 検波用2極管、 K − 整流管、 L − 低増幅率3極管
    H − 高増幅率3極管、   A − 電力増幅用3極管
    R − 電圧増幅用5極管、  V − 可変増幅率5極管
    P − 電力増幅用5極管、  B − ビ−ム出力管
    C − 周波数変換用7極管、 E − 同調指示管
<数字列2> −− 区別用番号(1〜2桁)、大体製作順。電極数とは無関係。
 ハイフンの後の英字と数字で球の特性を区別できるように、ハイフンの前(電圧、
形状)が違っていても特性が違えばハイフンの後(特に<数字列2>)を変えてある。
しかしハイフンの前が違って後ろが同じになっている例を知らない(P1以外)。

3) 欧州式
 製造会社によって種々あると思われるが、次の形のものについてだけ述べる。実は、
日本式はこの欧州式と米国式の折衷型である。

    <英字1><英字2><数字1><数字2>
                        例:ECL80,DF96
<英字1> −− 概略のヒ−タ−電圧等を示すものであるが、あまり詳しくは知ら
         ない。以下憶えているものだけを示す。
          E − 6.3V  G − 5V  D − 1.4V
     P − 300mA
<英字2> −− 2極管、3極管などの種類を示す.複合管のときは複数並べる
         これも知っているものだけを挙げる。
     A − 検波用2極管、 C − 3極管、 F − 電圧増幅用5極管
     K − 周波数変換用7極管、 L − 電力増幅用5極管
     Z − 整流管
<数字1> −− ピン、ベ−ス型を示す。これもほとんど知らないが、小数挙げる。
     3 − オクタルベース管  8 − 9ピンmT管
     9 − 7ピンmT管
<数字2> −− 区別用数字、多分製作順


2.真空管の形状・ヒーター電圧
 真空管の形にはいろいろなものがあるようであるが、私が接したものは比較的少な
い。そのため以下ではST管、オクタルベース(GT)管、ミニチュア管(極一部新
形状管も含む)だけを取り上げる。これ以外にも旧形状管としてはロクタル管、ピー
ナツ管、エーコン管等多種あるが、展示品を除き生きている(灯がともっている)の
は見たことがない。また真空管時代の末期には、上述の日本式名称の <英字1> が
B、C、H、Nにあたるミニチュア管を大型化したものが現れた(但しNは小型)。
もちろん、この型の米国式名称の球も(の方が)多数ある。これら新形状管は動作し
ているのを一部見たことはあるが、自分で使用したことはないので知識が乏しい。
 米国式、日本式球の最初の数字(概略ヒーター電圧を示す)と実際の電圧について少
し言及しておく。6のものは必ず 6.3V で12のものは必ず 12.6V というのは常識
であるが、12を越えるのものはほとんど丁度その電圧になっている。しかし12未
満のものは複雑で1はmT管では 1.4V SmT管では 1.25V である。2は通常 2.5V 
であるが、3にも 2.5V のものがあり、600mA シリーズの3の球は3.15V である。5
のものはほとんど丁度5Vである。ロクタル管には7のものが多いが、これのヒータ
ー電圧は 6.3V になっている。

3.ST管
 古くは電球のような茄子型であったが、後にくびれのある普通の形になった。小型、
中型、大型があり、以下で特にことわらないものは小型である。同じ形でオクタルベ
−スのものはオクタルベ−ス管として別に分類した。

UX−2A3 三極出力管。形状中型。
UZ−2A5 五極出力管。形状中型。42の2.5V球。
Ut−2A7 周波数変換用七極管。6A7の2.5V球。
KX−5Z3 直熱型両波整流管。大電流用。形状大型。
UX−6A3 三極出力管。形状中型。2A3の6.3V球。
Ut−6A7 周波数変換用七極管。頂上キャップ有。第3第5グリッドが遮蔽格子
       として接続された形で、使い難いので6W−C5で置き換えられた。
  電力増幅管を除く通常の6.3球のヒ−タ−電流は0.3Aである。
UZ−6C6 電圧増幅用五極管。検波、低周波増幅用。頂上キャップ有。
UZ−6D6 可変増幅率五極管。高周波増幅、中間周波増幅用。頂上キャップ有。
       6C6、6D6は普通シ−ルドケ−スをかぶせて使用した。
EZ−6E5 同調指示管(マジックアイ)。形状くびれ無し(GT管類似)。
KX−12F 直熱型半波整流管。ヒ−タ−5V。小電流用。3本脚。
UX−12A 直熱型3極出力管。12Fのフィラメントとプレ−トの間にグリッド
       をいれた形になっていた。小出力用。
UZ−42  五極出力管。形状中型。ヒ−タ−6.3V。シングルで最大出力約
       3.5W。電蓄に多く用いられた。
UY−56  低増幅率3極管。76の2.5V球。
UZ−57  電圧増幅用5極管。77(6C6)の2.5V球。
UZ−58  可変増幅率5極管。78(6D6)の2.5V球。
UY−76  低増幅率3極管。ヒ−タ−6.3V。低周波増幅。
UZ−77  電圧増幅用5極管。ヒ−タ−6.3V。6C6類似。
UZ−78  可変増幅率5極管。ヒ−タ−6.3V。6D6類似。
KX−80  直熱型両波整流管。中電流用。形状中型。ヒ−タ−5V。42と対で
       用いられた。
KX−80BK,80HK 傍熱型半波整流管。ヒ−タ−5V。6Z−P1と対で用
       いられた。BK、HKが何を意味するのか知らない(補遺参照)。
CZ−504D 42とほぼ同じ特性で、差し替えて使用できた。通信管に分類され
	   ているが、何が異なるのか良く知らない。
UY−807 ビ−ム出力管、形状大型。6L6とほぼ同じの大出力用であるが、主
       として無線送信機の出力段に用いられた。頂上キャップ(プレ−ト)
       有り。
3Y−P1  6Z−P1の前身の5極出力管。ヒ−タ−2.5V。傍熱管であるが
	   カソードがヒーターに内部接続されていた。
6W−C5  5球ス−パ−の周波数変換管として最も普通に用いられた。
6Z−DH3 3極管のグリッドが頂上キャップに接続されていたが、頂上キャップ
       なしの6Z−DH3Aに置き換えられた。
6Z−DH3A 5球ス−パ−の検波、低周波増幅用として用いられた。
6Z−P1  出力1Wの最もありふれた小型出力管。ヒ−タ−6.3V,0.35A。
 以下のトランスレス用ST管は戦時中鉄の節約のために用いられた。
12W−C5 6W−C5のトランスレス版。トランスレスス−パ−用。
12Y−R1 6C6のトランスレス版。高1用。
12Y−V1 6D6のトランスレス版。高1、ス−パ−用。
12Z−DH3A 6Z−DH3Aのトランスレス版。トランスレスス−パ−用。
12Z−P1 6Z−P1のトランスレス版。高1、ス−パ−用。ヒ−タ−電流が
       0.15Aのため6Z−P1よりパワ−は出なかった。
24Z−K2 トランスレス用倍電圧整流管。双2極管(カソードは別々)。
35Z−K12 トランスレス用倍電圧整流管。双2極管(カソードは別々)。
ST管の5球スーパーは 6W−C5 6D6 6Z−DH3A 6Z−P1 
12F(80BK) で少しパワーのいる電蓄では最後が 42 80 になってい
た。しかしこの中には日本製の球がまざっている。米国では何が使用されていたのか
気になる。42、80を使用して、6W−C5の代わりには6A7としても6Z−
DH3Aの代わりはあまり聞かない(補遺追加 7/12/2000 参照)。

4.オクタルベ−ス管
 普通GT管と呼ばれている。8本脚のオクタルソケットを使用するが、電極の少な
い球では一部のピンが省略されているのもある。米国式の名前の球に関して以下にい
くつか記しておく。
 もともとはメタル管で、その後ガラス管になったものが多く、(−G)、(−GT)
が書いてあるものは、−G、−GTが付いていないのはメタル管、付いているのはガ
ラス管である。−GTのものは小型の円筒型、−Gのものは中型あるいは大型のST
管型である。(−G)や(−GT)が書いてないものは最初からガラス管として作ら
れた球である(下に書く米国式名称以外の球はすべてガラス管)。メタル管はケ−ス
がシ−ルド電極としてピンに出ていて、対応するガラス管もメタル管と差し替えられ
るように作られている。そのため電極数を示す最後の数字が見かけより1大きくなっ
ている。(不思議に数字だけの名前の球には−G(T)が付いているのがない。)オク
タルソケットはUSソケットともいい、古くはST管と同様に前にUS−を付けて呼
ばれていたらしい。最初の英字がSになっているものが多くあるが、これは元々トッ
プにグリッドが出ていた球を改良してグリッドを脚に出した時に付けられた Single 
Ended を表す記号(即ち、例えば6SN7は6N7の改良版)らしいが詳しくは知ら
ない。すべてがSを除いた球に対応しているとは限らないようである。

1B3(−GT)  TVの高圧整流用2極管。頂上キャップ(プレ−ト)有り。
5AR4/GZ34 傍熱型両波整流管。欧州系の球で6CA7と組で使用される。
          大電流用。
5G−K4     傍熱型両波整流管。5Y3とほぼ同性能。
5U4(−G)   直熱型両波整流管。形状大型。5Z3と同規格。大電流用。
          −GA,−GBは電流容量をより大きくしたもの。
5Y3(−GT)  直熱型両波整流管。6F6、6V6と組で使用される。
6AC7(−GT) 高gm5極管。TVの映像増幅用。gm=9000μmho。
6AG7(−GT) 高gm5極管。TVの映像増幅用。gm=12000μmho。
6AS7(−G)  電流レギュレ−タ用双3極管。形状大型。増幅率は小さいが内
          部抵抗が非常に小さいのでOTL用出力管に使われたこともあ
          る。
6AX4(−GT) 傍熱型半波整流管。TVのダンパ−管用。
6BQ6(−GT) ビ−ム出力管。TVの水平出力用。頂上キャップ(プレ−ト)
          あり。
6BX7(−GT) 双3極管。TVの垂直発振出力用。
6CA7/EL34 電力増幅5極管。欧州系の球で能率が高く、PPで最高100
          Wが出せる(プレ−ト電圧750Vで)。
6CM5      電力増幅5極管。TVの水平出力用。頂上キャップ(プレ−ト)
          あり。25E5の6.3V球。GT管としては新しい球。
6DQ6      ビ−ム出力管。6BQ6−GTBの改良版。TVの水平出力用。
6F6(−GT)  電力増幅5極管。42とほぼ同規格。
6G−A4     電力増幅3極管。6BX7の片方と同規格。3極管アンプ用。
6G−B6     ビ−ム出力管。6BQ6−GTとほぼ同形状、同規格。
6G−B8     ビ−ム出力管。6CA7に対抗して作られた日本式真空管の傑
          作でより低いプレ−ト電圧で同じ大出力が得られる。
6H6(−GT)  FM検波用双2極管。
6J5(−GT)  低増幅率3極管。
6L6(−G)   ビ−ム出力管。大出力用。6CA7と同程度であるがgmは少
          し低い。−G管は大型の円筒形でくびれがない。
6SA7(−GT) 周波数変換用7極管。5球ス−パ−用。
6SH7(−GT) 電圧増幅用5極管。高周波増幅用。
6SJ7(−GT) 電圧増幅用5極管。低周波増幅用。6C6類似。
6SK7(−GT) 可変増幅率5極管。6D6類似。
6SL7(−GT) 高増幅率双3極管。μ=70。
6SN7(−GT) 中増幅率双3極管。μ=30。ヒーター0.6A
          出力管、整流管以外の他の6V球のヒーターは大体0.3A。
6SQ7(−GT) 双2極3極管。5球ス−パ−の検波低周波増幅用。
GT管の5球ス−パ−は 6SA7−6SK7−6SQ7−6F6−5Y3 である。
6V6(−GT)  ビ−ム出力管。シングルで出力約5W。人気のあった球。
6W4(−GT)  傍熱型半波整流管。TVのダンパ−管用。
12SA7−GT  6SA7の12.6V球。|
12SK7−GT  6SK7の12.6V球。|
12SQ7−GT  6SQ7の12.6V球。|トランスレスス−パ−用。
35L6−GT   電力増幅用5極管。   |
35Z5−GT   傍熱型半波整流管。   |
25E5      電力増幅用5極管。TVの水平偏向出力用。頂上キャップ(プ
          レ−ト)有り。300mAシリ−ズ。
6080      電流レギュレ−タ用双3極管。6AS7−Gと同じ電極をGT
          管型ガラス容器に入れて小さくしたもの。
6336      電流レギュレ−タ用双3極管。形状大型ST管状。6AS7
         (6080)より大きい規格を持つ。OTLアンプ用としても
          有名。

5.ミニチュア(mT)管、サブミニチュア(SmT)管、その他新形状管
 特に指示しない限り、米国式のものは最後の数字(電極数)が6以下のものは7ピ
ン、7以上のものは9ピンmT管である。日本式のものは最初の英字でわかる。
1AG4    SmT 1.25V 50mA 電力増幅用五極管。
1AG5−SF SmT 1.25V 25mA 検波低周波増幅用2極5極管。
1L4     1.4V 50mA 電圧増幅用5極管。
1R5     1.4V 50mA 周波数変換用7極管。
1S5     1.4V 50mA 検波低周波増幅用2極5極管。
1T4     1.4V 50mA 可変増幅率5極管。
1U5     1.4V 50mA 検波低周波増幅用2極5極管。
1V6−SF  SmT 1.25V 25mA 周波数変換用3極5極管。
1X2、1X2A、1X2B TVの高圧整流用2極管。頂上キャップ(プレ−ト)
        あり。1X2Bが一番耐電圧が大きい。
3S4     2.8V 50mA 電力増幅用5極管 ヒ−タ−に中間タップが
        あり1.4V 100mA にもできる。
 携帯ラジオ4球ス−パ−の構成はmT管では 1R5 1T4 1S5 3S4
でヒ−タ−電流が半分の省電流型SF管(1R5−SF等)もあった。またSmT管
では 1V6−SF 5678−SF 1AG5−SF 1AG4(5672)で、
トランジスタラジオが主流になる直前には超省電流のS管(5678−S等のヒータ
ー電流15mA管)も出現したが、あまり活躍の場はなかった。
5M−K9   傍熱型半波整流管。80BK対応。
6AB8/ECL80 TVの垂直発振出力用3極5極管。5極管部は6BM8より
        低出力。カソ−ドが共通で低周波用には使いにくい。
6AH6    高周波増幅用5極管。
6AK5    高周波増幅用5極管。電極間容量が小さく超短波用として使用され
        た。ヒ−タ−6.3V、0.175A(他の電力増幅管・整流管・複
		合管以外のmT管は普通0.3A)であった。
6AL5    双2極管。FM検波用
6AN8    3極電圧増幅5極管。テレビ用であるが低周波用にもよく使用され
        た。
6AQ5    ビ−ム出力管。6V6と電気特性は同じであるが、最大定格は小さ
        いと思われる。
6AQ8/ECC85 高増幅率双3極管。12AT7に似ているがヒ−タ−電流が
        大きく0.45Aであった。その代わり価格は低かった。内部シ−
        ルドが外に出ているので電極数が8になっている。
6AR5    電力増幅用5極管。5球ス−パ−用出力管として最も普通に使用さ
        れた。6F6とほぼ同規格。
6AT6    双2極3極管。6AV6に似ているが3極管部はμ=70である。
6AU6    高周波増幅用5極管の代表。低周波用にも使用された。
6AV6    双2極3極管。カソードはすべて共通。5球ス−パ−の検波低周波
        増幅用。3極管はμ=100
6AW8    3極5極管。3極管はμ=70、5極管は高gmでTV映像増幅用。
6BA6    可変増幅率5極管。安価ながら高性能で高周波増幅に広く使用され
        た。
6BD6    可変増幅率5極管。6D6代替でgmが小さい。
 因みに、6C6代替の安価なmT管がなくて困ったらしい。6AU6等の高周波増
幅用管は高価であったので6BA6や6AV6で代用せざるを得なかった。
6BE6    周波数変換用7極管。5球ス−パ−用。mT管の5球ス−パ−は
 6BE6 6BA6(6BD6) 6AV6 6AR5 5M−K9(6X4)。
6BL8    3極5極管。9A8の6.3V版。
6BM8    高増幅率3極電力増幅5極管。16A8の6.3V版であるが低プ
        レ−ト電圧で働き、使いやすかったので小型のアンプに広く使用さ
        れた。
6BN6    ゲ−テッドビ−ム管。FM検波用。複雑な電極構造。
6BN8    双2極3極管。6AV6と異なりカソ−ドはすべて独立。FM検波
        低周波増幅用。
6BQ5/EL84 9ピン。電力増幅用5極管。欧州系の球で能率がよく、中型ア
        ンプの出力用として広く使用された。
6BQ7A   高周波増幅用双3極管。テレビVHFのカスコ−ド増幅用。
6BX6    9ピン。高周波増幅用5極管。欧州系の球らしい。
6BZ6    高周波増幅用5極管。セミリモ−トカットオフ。
6C4     中増幅率3極管。12AU7の半分。
6CA4    9ピン。傍熱型全波整流管。欧州系の球で6BQ5と対で使用され
        た。中電流用。
6CB6    高周波増幅用5極管。TVの映像中間周波増幅用など。
6CL6    9ピン。高gm5極管。映像増幅用。
6CS7    双3極管。TVの垂直発振出力用。12AT7と12BH7の片方
        ずつをいれたような球。
6CW5    9ピン。電力増幅用5極管。6BQ5の低B電圧版。
6EM7    6CS7と同様の管。出力用3極管は内部抵抗が小さく、アンプに
        も使用された。
6GW8    6BM8を高性能化したような管。3極管はμ=100で、5極管
        部も、より高出力。
6H−B26  新型のオーディオ用高性能ビ−ム管。
6J6     双3極管(カソ−ド共通)。VHFの発振混合用。
6M−HH3  6J6の日本製高性能版。
6R−A2   電力増幅用3極管。内部抵抗が低くSEPPでOTLアンプに使用
        された。
6R−A8   電力増幅用3極管。2A3代替といわれたが、内部は4極管構造の
        3極管接続であったらしい。
6R−DHV2 2極3極5極管。6BA6+6AV6。頂上キャップ(3極管グリ
        ッド)あり。つめこみ日本的な球。
6R−HH2  双3極管。6BQ7Aの日本製高性能版。
6R−HP2  6BM8の日本版。
6R−P15  6BQ5の日本版。
6R−R8   6AK5の日本製高性能版。
6U8     中増幅率3極電圧増幅用5極管。
6X4     傍熱型全波整流管。小電流用。カソ−ドとヒ−タ−は絶縁されてい
        た。
8B8     16A8の600mAシリ−ズ版。
9A8     中増幅率3極電圧増幅5極管。6AB8、6U8、16A8等と共
        に5極3極複合管時代の先駆をなす球。
12AT7   双3極管。μ=70で12AX7より低いが、内部抵抗が低くgm
        は大きい。以下12BY7までヒ−タ−に中間タップがあって6.3
        V0.3A(12BH7は0.6A)にもできた。
12AU7   双3極管。μ=20。6SN7とほぼ同じだがヒ−タ−電流は半分。
12AX7   双3極管。μ=100。高価な球であったらしい。
12BH7   双3極管。6SN7をやや出力管的にしたもの。TVの垂直発振出
        力用。
12BY7   映像増幅用高gm5極管。12BY7Aが普通。
16A8    3極5極管。3極管はμ=70、5極管は電力増幅用でテレビの音
        声出力用に使用された。300mAシリ−ズ。
19A3        傍熱型半波整流管。トランスレスラジオ用。
19Y3        9ピン。傍熱型半波整流管。トランスレステレビ用。
25M−K15 傍熱型半波整流管。トランスレスラジオ用。
30A5    電力増幅用5極管。トランスレスス−パ−用として最も普通。
 mT管の トランスレスス−パ−は 12BE6 12BA6(12BD6)   
12AV6 30A5(35C5) 35W4(25M−K15)である。6球に
するときには整流管に25M−K15や19A3を使用した。
30M−P23 電力増幅用5極管。30A5の日本製高性能版。
30M−P27 電力増幅用5極管。30M−P23をさらに高出力にしたもの。低
        B電圧用7ピンmT管の中では最も大出力。相当熱くなったらしい。
32A8    16A8の32V版。150mAシリ−ズ。
35C5    ビ−ム出力管。トランスレスス−パ−用として最初用いられたが、
        より高性能の30A5で置き換えられた。
35W4    傍熱型半波整流管。トランスレスス−パ−用として最も普通に用い
        られた。ヒーターにパイロットランプ用の中間タップがある。
50BM8   6BM8、16A8の50V版。ヒ−タ−電流0.1A。このあた
        りの他の真空管のヒ−タ−電流はだいたい0.15A。
50C5    ビ−ム出力管。トランスレス小型ラジオ用。
50C−A10 新型電力増幅用3極管。OTL用。
50EH5      電力増幅用5極管。50C5より高gm。単球電蓄向き。
50H−B26 新型高性能ビーム管。トランスの負荷を減らすためヒ−タ−を50
        Vにしてある。
50R−P25 電力増幅用5極管。3極管結合にすると内部抵抗が低くOTLにも
        使用された。
50R−P28 電力増幅用5極管。mT管の中では最も大出力。
5678−SF SmT。電圧増幅用直熱五極管。ヒ−タ−1.25V 25mA。
5672    SmT。電力増幅用直熱五極管。ヒ−タ−1.25V 50mA。
6267    6AU6の高信頼管。
7189    9ピンmT。6BQ5と動作特性は同じであるが、最大定格が少し
        大きく、一回り大きいパワ−が出せる。

                          平成3年3月 宮田英男
                        (平成8年2月 一部訂正)
                        (平成9年10月訂正追加)
                        (平成9年12月追加−米国式管の英字部について)
                        (平成11年6月ホームページ形式にした機会に
                          「2.真空管の形状」を追加、他部分も一部加筆訂正)
6.補遺、追加
ホームページからの情報や他からの指摘による追加訂正を記す。
2000
7/30 オクタルベース管の最初の記述を改良。
7/27 19Y3 の記述を訂正(規格表による)。50EH5 を追加。
7/12 6AB8 の5極管部の記述を訂正。6R-A8 を「4極管の3結」に訂正。
  6Z-DH3Aの代りに用いられた米国の球は UZ-75,UZ-85等で共にトップグリッドの
  双二極三極管で 両者の違いは三極部のμ(75はμ=100、85はμ=8.3)。
   (以上は黒沢弓夫氏の指摘による)
  CZ-504D を追加。
1999
6/23 URLを記録しなかったが、どこかのページで 80K という名前を見て,このKは
  傍熱型のカソードを意味することを思い出した。つまり 80K は 80 を傍熱型に
  したものであろう。12FK というのもあったように思う。従って 80BK/HK の K
  は傍熱型を意味することがわかったが、B, H については不明である。
6/23 6R-P10 を 6R-P15 に訂正(遠州雅庵氏の下記HPによる)。
      http://plaza.across.or.jp/~miyabian/tube/mtpwr.html